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東京地方裁判所 昭和58年(ワ)5358号 判決

原告 日本ハウジングローン株式会社

右代表者代表取締役 河原曻

右訴訟代理人弁護士 澤井英久

被告 日新運輸倉庫株式会社

右代表者代表取締役 田川嘉厚

被告 鈴木シカ

被告 鈴木利子

被告 古賀孝子

右被告鈴木シカ、同鈴木利子、同古賀孝子三名訴訟代理人弁護士 赤松岳

主文

一、別紙物件目録記載(二)の建物につき、被告鈴木シカ、同鈴木利子、同古賀孝子の被告日新運輸倉庫株式会社に対する別紙賃貸借目録記載の賃借権が存在しないことを確認する。

二、原告の被告鈴木シカ、同鈴木利子、同古賀孝子に対するその余の請求を棄却する。

三、訴訟費用は、原告と被告日新運輸倉庫株式会社との間においては、原告に生じた費用の三分の一と右被告に生じた費用の全部を右被告の負担とし、原告と被告鈴木シカ、同鈴木利子、同古賀孝子との間においては、原告に生じた費用の三分の一を右被告ら三名の負担とし、右被告ら三名に生じた費用の二分の一を原告の負担とし、その余を各自の負担とする。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、請求の趣旨

1. 主文第一項と同旨

2.(一)(主位的請求として)

被告鈴木シカ、同鈴木利子、同古賀孝子は、原告に対し、別紙物件目録記載(二)の建物を明渡せ。

(二)(予備的請求として)

被告鈴木シカ、同鈴木利子、同古賀孝子は、被告日新運輸倉庫株式会社に対し、別紙物件目録記載(二)の建物を明渡せ。

3. 訴訟費用は、被告らの負担とする。

4. 第2項につき仮執行宣言

二、請求の趣旨に対する答弁

1. 原告の請求をいずれも棄却する。

2. 訴訟費用は、原告の負担とする。

第二、当事者の主張

一、請求原因

1. 原告は、昭和五三年一二月一八日、訴外中島寛に対し、金三〇〇〇万円を次の約定で貸し付けた。

(一)最終弁済期限 昭和七九年一月七日

(二)弁済方法 昭和五四年二月から昭和七九年一月まで毎月七日限り金二五万六七〇七円宛の分割払

(三)利息 年九・二四パーセント

(四)損害金 年一四パーセント

(五)特約 借主が前記分割金の支払を一回でも怠ったときには、貸主からの請求によって分割弁済の期限の利益を喪失する。

2. 原告は、昭和五四年一月一八日、訴外中島との間で、1項の貸金債権を担保するために当時右訴外人所有の別紙物件目録記載(一)の土地(以下「本件土地」という。)及び同目録記載(二)の建物(以下「本件建物」という。)につき抵当権設定契約を締結し、浦和地方法務局所沢出張所昭和五四年一月一九日受付第一三三五号をもってその旨の抵当権設定登記を経由した。

3. 訴外中島は、原告に対し、1項の貸金債務につき、昭和五四年三月七日以降の分割金の支払をしなかった。

そこで、原告は、訴外中島に対し、昭和五六年六月一八日到達の書面をもって、同月二六日までに遅滞金の支払をするように請求したが、同訴外人は右支払を怠り、分割弁済の期限の利益を失った。

したがって、原告は、訴外中島に対し、次のとおり貸金残債権を有している。

(一)残元本金二九九七万二七〇二円

(二)利息金五五三万五七九二円

但し、昭和五四年六月二七日から昭和五六年六月二六日までの確定約定利息

(三)  (一)の残元本に対する昭和五六年六月二七日から支払済まで年一四パーセントの割合による約定遅延損害金

4. 原告は、前項の貸金残債権の弁済を受けるために、訴外中島に対する前記抵当権に基づき本件土地及び建物につき浦和地方裁判所川越支部に対し任意競売の申立(同庁昭和五六年(ケ)第一五二号事件)をし、昭和五六年八月二一日競売開始決定がなされ、手続(以下「本件競売手続」ともいう。)進行中である。

5. 訴外鈴木鶴雄は、本件建物の前所有者である被告日新運輸倉庫株式会社(以下「被告会社」という。)から昭和五三年九月一五日に賃料一ケ月金五万円の約定で本件建物を賃借した旨主張して本件建物を占有していた。

そして、訴外鈴木鶴雄と被告会社との間には、当庁昭和五五年(ワ)第三二六八号建物賃借権確認請求事件の「原告(訴外鈴木鶴雄)が本件建物について被告(本件被告会社)に対する賃借権を有することを確認する。」旨の確定判決(昭和五五年六月四日言渡し)が存在する。

6. 訴外鈴木鶴雄(以下「亡鶴雄」ともいう。)は、昭和五八年三月三一日死亡し、その妻である被告鈴木シカ、子である被告鈴木利子、同古賀孝子の三名(以下、右被告三名をまとめて「被告鈴木ら」という。)が右訴外人の権利義務を相続により承継し、亡鶴雄と同様の主張をし、本件建物の占有を継続している。

7. 亡鶴雄及びその相続人である被告鈴木らの本件建物についての前記賃借権は実際には存在しないものであり、被告鈴木らの本件建物についての占有は抵当権者である原告に対する侵害行為である。

前記確定判決の存在及び被告鈴木らの本件建物の占有により、本件競売手続において最低競売価格が大幅に減価され、しかも買受希望者がないため抵当権者である原告は重大な損害を被っている。

8. よって、本件建物の抵当権者である原告は、本件建物について被告鈴木らの被告会社に対する別紙賃貸借目録記載の賃借権が存在しないことの確認を求めるとともに、抵当権に基づく防害排除請求として被告鈴木らに対し、主位的に原告へ、予備的に被告会社へ本件建物を明渡すことを求める。

二、請求原因に対する認否

(被告会社)

1. 請求原因1項の事実は認める。

2. 同2項の事実は認める。

3. 同3項の事実は認める。

4. 同4項の事実は認める。

(被告鈴木ら)

1. 請求原因1項の事実は知らない。

2. 同2項のうち、原告主張の登記が経由された事実は認め、その余の事実は知らない。

3. 同3項の事実は知らない。

4. 同4項の事実は認める。

5. 同5項の事実は認める。

6. 同6項の事実は認める。

7. 同7項は争う。

8. 同8項は争う。

原告は、本件土地及び建物の抵当権者にすぎないから、本件建物の占有者である被告鈴木らに対し明渡を求めることはできない。

三、被告鈴木らの抗弁

1.(賃貸借契約の成立及び被告鈴木らの承継)

(一)  亡鶴雄は、昭和五三年六月三日、被告会社から当時被告会社所有の本件土地を借り受け、本件土地上に本件建物を建築してその所有権を取得した。

(二)  亡鶴雄は、昭和五三年九月一五日、本件建物を代金一〇〇〇万円で被告会社に売り渡し、その代金の支払を二年間猶予した。

(三)  亡鶴雄は、右同日、被告会社との間で、貸主被告会社、借主亡鶴雄とし、期間右同日から昭和五五年九月一四日まで、賃料一か月金五万円とする内容の賃貸借契約を締結した。

(四)  被告会社は、昭和五三年一二月一〇日、本件土地を代金二〇〇〇万円、本件建物を代金一〇〇〇万円で訴外中島寛に売り渡し、右訴外人は、昭和五四年一月一九日に本件土地について被告会社から所有権移転登記を経由するとともに、右同日本件建物について同訴外人名義で所有権保存登記を経由した。

(五)  被告会社は、訴外中島が被告会社に対する本件建物の売買代金一〇〇〇万円を支払わないまま昭和五四年二月頃所在不明となったので、同年九月二〇日右売買代金不払いを理由とする本件建物の売買契約解除の意思表示の公示送達を大森簡易裁判所に申し立て(同庁昭和五四年(サ)第一〇五四号事件)、同裁判所において同年一〇月二二日右意思表示が公示され、同年一一月六日の経過により送達の効力が生じ、本件建物の所有権は右解除の効果により被告会社に復帰した。

(六)  亡鶴雄は、昭和五八年三月三一日死亡し、被告鈴木らが本件建物についての亡鶴雄の被告会社に対する賃借権を相続により承継した。

2.(留置権)

(一)  亡鶴雄は、被告会社から昭和五三年九月一五日の本件建物の売買代金一〇〇〇万円の支払を受けていない。

(二)  したがって、亡鶴雄の相続人である被告鈴木らは、被告会社に対しては勿論、本件競売手続における本件建物の買受人に対しても、右未払代金債権を被担保債権とする留置権を行使しうる立場にある(最高裁判所昭和四七年一一月一六日第一小法廷判決参照)。

(三)  仮りに、原告に抵当権に基づく本件建物の明渡請求権が認められるとしても、被告鈴木らは、右留置権を援用して、右未払代金一〇〇〇万円の支払を受けるまで本件建物の明渡を拒絶する。

四、被告鈴木らの抗弁に対する原告の認否

1.(一) 被告鈴木らの抗弁1項(一)の事実は知らない。

(二) 同項(二)の事実は知らない。

(三) 同項(三)の事実は否認する。

(四) 同項(四)のうち売買契約締結の事実は知らないが、登記が経由された事実は認める。

(五) 同項(五)のうち公示送達申立の事実は認めるが、その余の事実は否認し、売買契約解除の効果発生の主張は争う。

(六) 同項(六)のうち亡鶴雄が死亡した事実は認めるが、被告鈴木らが本件建物について亡鶴雄の賃借権を相続したとの主張は争う。

2. 被告鈴木らの抗弁2項の主張はいずれも争う。

五、再抗弁

1. 仮に、被告鈴木らの抗弁1項(三)の事実が認められるとしても、右賃貸借契約は亡鶴雄と被告会社とが原告の将来の抵当権実行に備えてその成立を仮装したものであるから、虚偽表示として民法九四条一項により無効である。

2. 仮に、被告鈴木らの抗弁2項(一)、(二)の主張が認められるとしても、同被告らが本件において留置権の抗弁を行使することは信義則に違反し、権利濫用として許されない。

六、再抗弁に対する被告鈴木らの認否

1. 再抗弁1項の事実は否認する。

2. 同2項の主張は争う。

第三、証拠〈省略〉

理由

一、請求原因1項ないし3項の事実は、成立に争いのない甲第一号証、第二号証の一、二、第九号証の一、二、原本の存在とその成立に争いのない甲第三号証及び弁論の全趣旨によりこれを認めることができ、右認定に反する証拠はない(請求原因2項の抵当権設定登記を経由した事実は全当事者間に争いがない。)。

請求原因4項の事実は、全当事者間に争いがない。

請求原因5項及び6項の事実は、成立に争いのない乙第一〇号証及び弁論の全趣旨によりこれを認めることができ、右認定に反する証拠はない。

二、原告の本件建物についての被告鈴木らの被告会社に対する賃借権不存在確認請求について

1. まず、前記一認定の事実によれば、原告は本件建物の抵当権者として、本件建物の占有者である被告鈴木らの占有権原の有無について重大な利害関係を有するものであり、被告鈴木らの被相続人である亡鶴雄と被告会社との間には請求原因5項後段のとおり「亡鶴雄が本件建物について被告会社に対する賃借権を有する。」旨の確定判決が存在する以上、右確定判決の効力を否定して、本件競売手続の円滑な進行をはかるためにも被告鈴木ら及び被告会社を相手方として、本件建物について被告鈴木らの被告会社に対する賃借権不存在の確認を求める法律上の利益があるというべきである。

2. 被告会社代表者尋問の結果により成立を認めうる乙第一号証、第三号証、被告鈴木利子本人尋問及び被告会社代表者尋問の各結果を総合すれば、被告鈴木らの抗弁1項(一)、(二)の各事実が認められ、また、被告会社代表者尋問の結果によりその成立を認めうる乙第四号証によれば、被告鈴木らの抗弁1項の(三)の亡鶴雄と被告会社との間の本件建物についての賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」ともいう。)締結の事実を肯認することができる。

右乙第三号証(昭和五三年九月一五日付の亡鶴雄と被告会社間の売買契約証)及び第四号証(右同日付の亡鶴雄と被告会社間の建物賃貸借契約書)にいずれも公証人(太田武之)役場の昭和五四年九月一九日付の確定日付印が押されていることは、右各証が真実右作成日付に作成されたかについて疑問を残すものの、それだけでは右認定を妨げるに足りず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

しかしながら、本件賃貸借契約の一か月五万円の約定賃料については亡鶴雄が被告会社にこれを支払ったことを本件証拠上は肯認することができず(被告鈴木利子は右賃料の支払を否定する供述をしており、被告会社代表者も右賃料の支払についてはあいまいな供述をしており、第一回目の尋問期日の最後には原告代理人の質問に対して右賃料を受領したことがない旨明確に供述したにもかかわらず、第二回目の尋問期日には丙三号証(昭和五七年八月三〇日付の被告会社の亡鶴雄宛の領収書)を根拠に右賃料を一部受領したことがある旨供述しているが、本来賃料の支払がなされたとすれば亡鶴雄が所持すべき右丙三号証の原本を被告会社代表者が所持しているなど不自然な点がみられ、被告会社代表者の供述及び右丙三号証をもって右賃料の支払があったことを認めることができない。また、乙第四号証の「昭和五三年九月一五日より昭和五四年九月一四日までの一ケ年間の賃料金六〇万円也を前渡し賃料として受領した。」旨の記載も被告会社代表者の右供述態度等に照らすと直ちには措信できないところである。他に右賃料の支払の事実を認めるに足りる証拠はない。)、これに、被告鈴木利子が本件賃貸借契約について亡鶴雄から「形だけだから、家賃も払わなくていい。」旨聞いていたと供述していること、被告鈴木らの抗弁1項(二)のとおり被告会社の亡鶴雄に対する本件建物の売買代金の支払については二年間支払猶予がされているのに、亡鶴雄が右売買代金の支払を受けないうちから本件建物の賃料を被告会社に支払うというのも不自然であること、被告会社代表者尋問の結果により原本の存在及びその成立を認めうる丙第一号証(訴外中島寛、被告会社、亡鶴雄間の昭和五三年一二月一一日付の契約書)には「亡鶴雄は本件建物の被告会社に対する売買代金と被告会社に対する別途貸金七五〇万円の受領と同時に本件建物より退去して明渡すことを承諾した。」旨の記載があるものの、亡鶴雄と訴外会社との本件建物の賃貸借契約の存在については言及していないことなどを考慮し、さらに、被告鈴木利子本人及び被告会社代表者の各尋問結果によれば、亡鶴雄は本件建物の建築以来家族とともに本件建物に居住しており、できる限り長期間本件建物に居住することを望んでいたとうかがえることなどを併せ考えると、本件賃貸借契約締結に際しては、亡鶴雄は内心においては、賃貸借契約の成立要件である賃料支払の約束をする意思がなく、被告会社においても亡鶴雄の右真意を了知しながら、被告会社に対して売買代金債権及び貸金債権を有している亡鶴雄の本件建物居住についての権限を将来の本件建物所有者の交代及び債権者による執行等に備えて対外的に強化するために相通じて前掲乙第四号証の建物賃貸借契約書を作成して、外形的に本件賃貸借契約を成立させたものと推認できるところであり、右推認を覆すに足りる証拠はない。

そうだとすれば、亡鶴雄と被告会社との間の本件賃貸借契約は虚偽表示として民法九四条一項により無効であるといわざるを得ない。

なお、亡鶴雄と被告会社との間に請求原因5項後段の確定判決が存在することは前記一認定のとおりであるが、前掲乙第一〇号証によれば右判決は被告会社が亡鶴雄(右事件の原告)の請求原因事実を全て認めたため実質的な審理を行なうことなく終結して、言渡されたものであることが認められるから、亡鶴雄と被告会社間の本件賃貸借契約が虚偽表示により無効であるとの右判断を妨げるものではない。

3. 以上検討のとおり、原告の再抗弁1項は理由があり、その余の点について判断するまでもなく、亡鶴雄の相続人である被告鈴木らは本件建物について被告会社に対する別紙賃貸借目録記載の賃借権を有していないことになるから、原告の被告らに対する賃借権不存在確認請求は理由がある。

三、原告の抵当権に基づく本件建物の明渡請求について

1. 抵当権は、本来、目的物件の交換価値を優先的に把握する権利であって、目的物件の使用収益を支配する権利ではないから、目的物件の毀損等その交換価値自体を減少ないし喪失させる行為については抵当権に対する侵害として物上請求権に基づきその排除を求めることができるのは格別、単に目的物件が権限なく占有(以下「不法占有」という。)されているというだけでは直ちに抵当権に基づいて右占有の排除を求めることができるものではない。

もっとも、抵当権の目的物件が不法占有されている場合には、抵当権の実行に際して、売却が困難になり、あるいは売却価格の低下により被担保債権の満足を得られなくなるなど抵当権者に事実上の不利益をもたらす事態も生じるところではあるが、右のような事実上の不利益が生じるからといって、不法占有者が目的物件を通常の用法に従って使用収益している場合にまで、右占有自体を抵当権に対する侵害とみて、抵当権者に対し物上請求権に基づき右占有の排除を求める権利を肯認することは、前に説示した抵当権本来の性質からして無理といわざるをえない。

してみれば、抵当権者は、不法占有者が目的物件の毀損等その交換価値自体を減少ないし喪失させる抵当権に対する侵害行為をする場合において、その占有自体を排除するのでなければ右抵当権侵害行為排除の目的を達することができない等の特段の事情のない限り、抵当権に基づいて不法占有者に対し目的物件の明渡しを求めることはできないと解するのが相当である。

2. そこで、本件について検討するに、亡鶴雄と被告会社間の本件賃貸借契約が虚偽表示により無効であり、亡鶴雄の相続人である被告鈴木らが本件建物について被告会社に対する賃借権を有しないことは前記二で認定したとおりであるが、被告鈴木利子本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、被告鈴木らは本件家屋を住居として通常の用法にしたがって平穏に占有使用していることが認められ、同被告らが本件建物の交換価値自体を減少ないし喪失させる行為をしていることをうかがわせる証拠はないから、原告が抵当権に基づき被告鈴木らに対し本件建物の明渡しを求めることについて前記特段の事情の証明はないことになる。

なお、原告の主張する請求原因7項後段の事情が、右特段の事情に該当しないことは右1の説示から明らかである。

3. 以上の検討によれば、被告鈴木らに対し、抵当権に基づき、主位的に原告への、予備的に被告会社への本件建物の明渡しを求める原告の請求は、被告鈴木らの留置権の抗弁について判断するまでもなく、理由がないことになる。

四、よって、原告の本訴各請求中、被告鈴木らと被告会社間の賃借権不存在確認請求は理由があるからこれを認容し、被告鈴木らに対する本件建物明渡請求はいずれも理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 氣賀澤耕一)

〈以下省略〉

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